呼吸器科について
呼吸機能の低下は生活の質(QOL)にも
ダイレクトに関わる問題となります
呼吸器科では主に呼吸機能(肺やその周辺臓器)に関わる疾患について検査・診断・治療を行います。呼吸器科のあるクリニックを探されて、はるばる当院までたどり着かれる患者さんも少なくありません。「呼吸がしづらい」という状態は、その方の生活の質(QOL)の低下にもダイレクトにつながってしまいます。呼吸機能に関する何らかの異常を感じたら、できるだけ早期に診察にお越しください。
主な症状
咳・ぜんそく・息切れ・胸痛・痰など
症状がみられる期間について
症状がみられるようになった時期や期間においても、正確な診断を行う上では欠かせない重要な情報となります。
例えば「咳」という症状をひとつ取り上げてみても
① 数日前からいきなり始まったような急性期の症状
② 1~2か月未満で続いている症状
③ 3か月以上続く症状という3つのパターンによって分類されることが多いです。
特に③の症状である場合にはなんらかの病名がつくような大きな病が隠されている可能性が考えられます。肺活量やレントゲンなどで肺機能の状態を詳細に調べた上で診断を行うことが一般的です。
さらに呼吸器に関する症状において特筆すべき点は、年齢的な要因も深く関わっているケースが多いということです。小児やご高齢の方などはより詳しい情報の精査が必要となります。
当院でよくみられる疾患例
風邪症候群
いわゆる風邪による一時的な咳症状です。ウイルス感染や細菌によって引き起こされることがほとんどです。早期に適切な治療を開始できれば比較的短期間で治癒が見込めます。
副鼻腔炎
鼻の周囲にある空洞部分に細菌やウイルスが侵入することで炎症が起きます。強い鼻づまりが特徴で、それが原因となる頭痛に悩まされる方も多くみうけられます。鼻水が喉に流れ込みやすいことで痰となり咳が誘発されやすくなります。花粉症などのアレルギーから悪化するケースが多いです。
咽頭炎/上気道炎
咽頭や上気道部にウイルスや細菌が付着することによって炎症が引き起こされます。喉の痛みだけでなく、発熱や倦怠感などその他のさまざまな症状を伴うケースが多いです。原因となるウイルスや細菌の種類によっては肺炎や脳症など重大な合併症へと進行するケースも少なくないため、正しい診断と適切な早期の治療開始が重要となります。
ぜんそく
空気の通り道(気道)が慢性的に炎症を起こした状態となることで、内部が狭まり喉がゼイゼイと鳴る(喘鳴)など息苦しさを感じやすくなるだけでなく、ちょっとした刺激にも過敏に反応して激しく咳き込んでしまいます。最悪の場合、呼吸困難を招くなど決してあなどることのできない怖い病気です。
咳ぜんそく
一般的に空咳が2か月以上続くと咳ぜんそくと診断されます。主にアレルギーが主原因となりやすく、早期にステロイド吸入薬や気管支拡張薬を用いた適切な治療開始を見込めれば症状は緩和しやすくなります。
遷延性慢性咳嗽
1か月半以上続く咳症状が特徴的な疾患です。風邪症状を含む上気道部の感染が主原因となりやすく、頭痛や発熱を伴う症状もみられやすいです。長く続く咳症状は、肺結核や肺・咽喉頭の腫瘍に起因している可能性も考えられるため、診断には喀痰検査や胸部CTスキャンなどを用いて精密な検査を加えることが多いです。
急性気管支炎
ウイルスや細菌感染によって上気道部の炎症が激しく起きることで、気管支へと炎症が広がってゆきます。主な症状としては咳や痰、胸部の違和感などが挙げられます。マイコプラズマ肺炎などの病原体が原因となるケースもあるため注意が必要です。
慢性気管支炎
咳と痰が3か月以上の長きに渡って続きながらも、その原因がはっきりしない場合に慢性気管支炎と診断されることが多いです。気道の壁に炎症が起き、粘液が過剰に分泌されることによって咳が誘発されやすくなります。時間の経過とともに気道の壁が厚くなり、内部がさらに狭まることで次第に息苦しさを感じるようになります。
肺炎
細菌やウイルス感染によって、気管支のさらに先にあたる肺胞という部分が炎症を起こします。初期ほど風邪症状に酷似しますが、急激な悪化や呼吸困難を引き起こすため注意が必要です。血液検査やレントゲンなど胸部の詳細な検査を加えることで診断が可能です。
睡眠時無呼吸症候群
その名の通り、睡眠中に何度も呼吸が止まってしまう病気です。生命に直接的に関わる可能性の高い重大な病気です。閉そく性と中枢性の2種がありますが、いずれも早期に専門的な治療を受ける必要があります。当院では専用治療機器C-PAPを用いた診療も取り扱っております。
慢性閉そく性肺疾患(COPD)
喫煙されるご高齢の方に多くみられる傾向があります。肺への空気の通り道(気管支)が狭まってしまう病気です。痰の有無なども診断においては重要な観点のひとつとなります。潜在的患者数も非常に多いと推定されています。悪化すると安静にしていても息苦しい状態が続くようになります。
【当院では禁煙外来も取り扱っております】
当院では専用アプリを用いた最新の治療法もご提案いたしております。自費診療・保険内診療ともに取り扱いがございますので、ご興味のある方はスタッフまでお問い合わせください。
その気になる咳―
3か月以上続いているならば要注意!
例えば咳ぜんそくなどは1か月半ほど症状が続いたあと一時的に落ち着き、一見症状がなくなったような感覚に陥る患者さんが大変多いです。しかしながら、季節の変わり目やアレルギー、ちょっとした抵抗力の低下や体調不良などをきっかけに症状がまた再発します。
その繰り返しを経ることによって、結果的に3か月以上の長期にわたる症状へと変化してしまうことは実際の診療現場においてはよくあることです。症状がさらに一段階進行してしまうと治療法がより複雑化するだけでなく、新たな疾患を引き起こす可能性にも繋がり大変危険です。
原因が多岐にわたり複雑化しやすい部位だからこそ、異常を感じられたら早期に正しい診断と根気強い治療を行うことがとても重要です。
■各種検査機器のご案内
その他、AI診断を取り入れた最新鋭の検査機器も近日導入予定です。
普段と違う息苦しさや胸の痛みを感じたら早期に診察にお越しください
息苦しさや胸に痛みを感じるような症状は呼吸器科領域だけでなく、心臓など循環器に関わる疾患が要因となっているケースも多々みられます。特に心不全による息苦しさなどは呼吸器系疾患と症状が酷似するため警戒が必要となります。
さまざまな専門的な検査を加えるだけでなく、問診や患者さんの普段のご様子などについて丁寧にお話しをお伺いする中からもその異常がどこに起因しているのかを見極められることはよくあります。呼吸にまつわる異常を感じられたら、何よりも早期に診察室にお越しください。